軽部潤子さん インタビュー!
Kissで「青空クリニック」を連載中の軽部潤子さんに、
趣味のお話から制作裏話までを伺ってきました!

……では、仕事の話になったところで、「青空クリニック」にまつわるお話を。写真に写っている本は?
【K】: うん。わたしを支えてくれる資料本たちです。医学書ですね。この本は資料の一部です。
もろにお医者さんが読むようなものなんですか?
【K】: うーん。研修医とか、看護婦さんが読むようなものが多いかな。本格的にお医者さんが読むやつになっちゃうと、何語かわからない言葉で書いてあったりするから。
ドイツ語とかそういう?
【K】: そうそう。ただ実践的というか、「こういう風に包帯を巻く」とか、こういう時にどうするかっていう具体的なのは看護婦さんの本が分かりやすいけど、どうしてこういう処置をするのかっていうのは、やっぱりお医者さんの本じゃないとね。
本は全部読まれてるんですか?
【K】: 読んでるというか、わからないことがあった時に調べるためのものですね。どちらかと言うと。それで知識を得たような気になってるというか。気分だけは医者になってますね。
でも、これだけあると、家庭の医学レベルの知識は万全そうですよね。
【K】: そういうの元々好きなんですよね。健康オタク?健康食品とかも好きだし。いいって聞くとすぐに試すの。今はローズヒップかな。ティーバッグ開けて、中も食べるんだよ。なんかボソボソしてるけど、「これでもしかして…!」とか思って食べてる。
黒酢とかもいいって言いますよね。
【K】: あ、さっき黒酢飲んできたよ。
そういう健康食品って、やっぱり漫画家さんのハードスケジュールを支えるための?
【K】: いや、全然関係ないです。元々好きだったんですよ。家庭の医学を読んだりするのも好きだったんです。体も強い方ではなかったので、それもあるかな。
病弱だったんですか?
【K】: うん。からだが弱かった。だから、今、一人が好きだったり、集団行動がとれないのって、その頃の体験が元になっているというか。よくみんなで旅行に行って具合悪くなっちゃう子っているじゃないですか。あれあれ。あれ、わたしです。
修学旅行に熱出して行けないとか?
【K】: そう。友達と旅行に行って、ペースを乱して迷惑なやつって、わたしですね。だから快眠・快食・快便の人って、本当にうらやましい。だから孤独を愛するようになったのかも。……なんかこんな話ばっかりしてると、すごいエキセントリックな人と思われそうですね。
いやいや、そんなことはないですが。
【K】: よくイメージと違うって言われる。
でも確かに、作品から受けていた軽部さんのイメージっていうのはあると思うんですよね。読者の方とかにも。子供が好きそうとか……。なんでそういうイメージが作られたのか分からないんですが。『君の手がささやいている』とかを読んで、さんざん泣いているので、どんどん軽部さんに対するイメージが膨らんでしまったのかもしれません。
【K】: あー、でも、たまにネーム(漫画の下書き)描きながら、涙流してましたからね。自分で。
そうなんですかー?
【K】: 「泣かせよう」と思って描いたことは一回もなくて。描いてて入り込んじゃうと、背中がゾゾっとする時があるのね。そういう時は読んだ人からも「良かった」って言われるの。漫画って不思議だなーって思いますよね。
そうですね。
【K】: 泣かせてやれとか思うと描けなくなっちゃうのね。逆に。だからよく演出がどうのとかって言うんだけど、「私に演出とか言わないで」と思いますよ。がんばって演出しなきゃとか、そっちばっかりに頭がいっちゃうんですよね。
逆にそういうことが読んでいて伝わるからこそ、泣けてしまうんでしょうね。
【K】: そうなのかなあ。
『君の手〜』とかって実体験に基づいているのかなー?というイメージもあったんですよ。お子さんがいたりとか。
【K】: あれはねー、逆なんですよ。あの時、父を亡くしたりという大きなことがダン! ダン!とあって……。その時に、「幸せってこんな身近なところにあったの?」みたいな思いから生まれたんですよね。遠くにあるものじゃなくて、すごく近くにあるものなんだって。だから実体験ではないんですよね。子供も産んだことないし、優しい人間じゃないし。……美栄ちゃんは優しかったんですけどね。あ、『君の手〜』で描いた美栄子ね。
美栄子はすごく愛にあふれている感じがしましたよね。
【K】: いや、愛にはあふれてるつもりですよ。わたしも。虫とかの観察が好きでね、気持ち悪いんだけど「あ、がんばって生きてるんだ!」って思う。あ、だから余計に山とか自然が好きなのかな?山を歩いていて、毛虫がいたり卵を見つけたりするのが楽しいですね。
なんか、それってどっちかというと「科学する心」ですよね。
【K】: あ、そうそう。だからNHKの子供向け番組とか大好きなの。今も『むしまるQ』っていう番組にはまっていて。これはオススメです。すっごいいい番組だから見て!ほんとに。
『むしまるQ』……。
【K】: 虫のキャラクターがいろんな動物のクイズを出すっていうだけなんだけど。そしてそこに出てくる歌が、なんかすっごいシュールなの。……まあ、虫がものすごく好き!っていうわけでもないんですけどね。
ええと、ではちょっと話を変えて、漫画家さんになったきっかけをお聞きしてもよろしいですか?
【K】: mimiデビューですね、わたしは。そこに投稿して佳作をいただきまして。鈴木由美子さんの1年後輩かな?
小さい頃から漫画家さんを志していらっしゃったんですか?
【K】: うん。ずーっと思ってました。漫画家さんになりたいって。わたしの年代って、ちょうど漫画に熱い世代だったのかもしれませんね。
あ、そうかもしれませんね。
【K】: 他になりたいものとかも全然思いつかなかったし。でもね、マン研とかはあんまりちゃんと入ったことありません。コンパだけ行ってた。アニメとかが好きな人が多いんですよね。わたしは陸奥A子さんとか岩館真理子さんとかが好きだったし。そうそう、わたしの高校の同級生が、今、『別冊フレンド』で描いてる池沢理美さんなんですよ。
あ、そうなんですか。じゃあ、ふたりで漫画について語り合ったりとか?
【K】: いや、そんな高尚なものではないんですけど、彼女がマン研だったんで、その後にくっついてちょこちょこやってたんですよね。ふたりとも賞をいただいたので、その時には、ふたりで「わたしたち今までがんばってきて良かったよね!」みたいな感じで。喜びを分かち合いました。
では、最後に、今、連載されている『青空クリニック』について、苦労話や今後の展開などをお聞きしたいのですが。
【K】: 『青空クリニック』は、最初イメージしていたモデルの女医さんがいたんですけどね。取材を申し込んだら断られてしまって。
でも、きっと作品を読んでもらったら、違う印象を持ってもらえましたよね。きっと。
【K】: うん。だけど、そうやって断られたからこそ、離島のお医者さんにも会えたのかなって。
あれは実際、現地に行って?
【K】: そうです。担当さんがホームページで調べてくれて。『君の手〜』の時は、自分が手話とかを習っていて、聞こえない友達もいて、そういう所から作り上げていたんですけど。今回は全く未知の世界のことだから、描きながら「いいのかな?いいのかな?大丈夫かな?」っていうのは、すごいあって。そういうところが大変といえば大変かな。
やっぱりその辺は取材をしないとダメですか?
【K】: うん。その時に巡り合えたのが、地域医療をやっている離島のお医者さんたちと看護婦さんたちだったんです。取材したことで、地道に活動をしてらっしゃるお医者さんがいるんだなって、すごく実感があって。それで、「あ、これ描いていいんだ」って思えたんです。
離島の病院って言うのは、どんなところなんですか?
【K】: そこに行くまでは、お医者さんというものに対する不信感がちょっとあったんですけど、離島に行って、こんなにもアットホームでいいお医者さんがいたんだ!って感じでしたね。「かかりつけ医」って、なかなかできないじゃないですか。こんないいお医者さんになってもらえるのって、うらやましいと思いましたね。
やっぱり、優先生が行ったような小さなところなんですか?
【K】: いや、そこは地域医療の病院としては大きいんですよ。外科、内科、小児科に透析設備とかもあって。
「島の病院」でイメージする診療所みたいなところとは、だいぶ違いますね。
【K】: そう。だから、作品の設定とは違うんですけどね。でも、地域の人に密着しているので、へたすると家族構成までわかっているようなつきあいをしているみたいです。
まさに「かかりつけ医」ですね。
【K】: 取材させていただいたお医者さんだけしか分かりませんけど、ほんとにいい方々で。またそのうち行きます、取材に。
「青空クリニック」の今後のストーリー展開はどんな感じですか?
【K】: これから、主人公の優を成長させていきたいなあと思っているんですけどね。熱血な部分ばかりではなくて、そうですね、「不器用な医者(もちろん技術でなく人として)」?みたいなものが描ければいいなと思ってるんですけどね。
なるほど。
【K】: あとは、医療の問題はもちろん、島の問題とか、住む場所が抱えている問題とかにも触れていきたいと思っています。
ありがとうございました。


取材も快調で、ますます目が離せない「青空クリニック」。今後の展開にもご期待ください!
フォトギャラリー
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冬の山に行くためのスノーシュ−(西洋かんじき)
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鳥のために購入した、ウン十万円のインキュベーター(医療器具)
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仕事場で和ませてくれる写真たち
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鳥見のスタイル 双眼鏡&迷彩服
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「青空クリニック」資料の医学書(ごく一部)
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