安斉メイさん インタビュー!
Kissで「サクラ ノ ソノ」を好評連載中の安斉メイさんに
お話をうかがってきました。
  まず、現在連載中の作品「サクラ ノ ソノ」についてお伺いしたいんですが…。
【安斉さん】:
(以下A) 
今ちょうど3話目が校了終わって、この後2回お休みなので、次のお話をやってるところです。わたし、描くのが遅いんで…。
  タイトルの「サクラ ノ ソノ」というのは安斉さんの発案なんですか?
【A】: そうですね。チェーホフの「桜の園」からとりました。まんまだと芸が無いので、ひらがなかカタカナにしましょうということになって、字面 でカタカナがいいかなーと。ただ、漠然と最初からロシアっていうのはあって。
  ロシアですか?
【A】: はい。ちょうどマイブームがロシアだったんですよね。あと、留学してる友達がロシアにいて、資料とかすぐに集められるかもしれないというのもあったんです。それで、インターネットでやりとりをして。あ、ロシア文学専攻の大学院生なんですけど。
  あ、じゃあまさに漫画と同じですね。
【A】: そう、まさになんですけど。
  男性の方なんですか?
【A】: 男性です。でも、モデルとかじゃ全然なくて、ただの友達なんですけど。ロシア語業界は狭いんで、名前だけは絶対出さないでくれって言われてるんです。
  "ロシア語業界"ってあるんですか?
【A】: あるらしいんですよ! グーグルとかで彼の名前で検索すると、ポンってすぐ論文とかが出てきちゃうくらいで。だれが何を研究してるかとか。だからなるほどと思って、協力者の名前はいっさい出しませんということで。協力って言っても、「どうやって読むの?」とか、「この文学ってどの辺のどういう位 置にあるの?」とか、最初にすごく漠然とした質問をぶつけたら、「メールじゃ、無理!」とか言われて…。で、もう自分でやるしかないみたいになって、調べたりとか読んだりとかしたんですけど。まあ確かに読んでから、聞いたわたしがバカだったって思いました。
  取材もなかなか大変ですね…。
【A】: 「ドストエフスキーってどういう人?」とかって質問したら、「バカじゃない?自分で調べれば」とかいう答えしか返ってこなくって。でも、それはちょっと諭介(ゆうすけ)のキャラクターに反映されてるかもしれないです。ロシア文学やってる人って、シベリアっぽいのかも…とか思って。
  ははは! シベリアっぽい!それいーですね。
【A】: "変わり者で冷たい"みたいな。3話目の「野菜食いたかったら自分で焼けば?」みたいなところとか。
  冷たいですよね。
【A】: そう。「冷たい」っていうイメージは結構取材したことが反映されてるかもしれませんね。
  「桜の園」については、何か特別 な思い入れがあったりするんですか?
【A】: そのロシア文学をやっている彼が、高校時代チェーホフの「桜の園」を読んでたんです。そのときに、「面 白いの?」って聞いたら「うん、つまんない」って言ったのがすごい印象に残ってて。彼がそのままロシア文学のほうに進んだのを聞いて、なんでそんなつまんないって言ってたものを研究するんだろうと不思議に思ってて。まあ、彼はその後、ほかの面 白い作品に出会ったからその道に入ったんだと思うんですけど、ただその高校時代に「つまんない」って言ってたのに読んでたのがちょっとかっこいいなと思ってて。
  そうですね。ちょっと変わり者っぽいところもまたかっこいい…みたいな。
【A】: そうですね。そんなことを思い出して、そこから話を膨らませていったという感じですかね。
  今後の展開は決まっているんですか?
【A】: おおざっぱには決まってます。ラストの部分は初めから決めているので、そこまでをどうやるかという感じですね。
【担当T】:
(以下T) 
新しく出会ったロシア文学大学院生が、またペテルブルグの川の底に沈むとか。(突然発言する、安斉さんの担当編集Tさん。微妙に酔っぱらってます…)
【A】: はははは!
  えっっっ?死にオチですか!?
【T】: やっぱりまた死んじゃうのかー…みたいな。
【A】: そうそう!呪われてるー!みたいな。正統派少女漫画を狙っているので。
  死んで永遠に記憶に残るという?
【A】: そうです!
【T】: だから1話目のカラーの桜の下で寝っころがってるのは、あれ、主人公も死んでるから!
【A】: 酒を飲んで泥酔してるって説もあるんですけどね。顔がちょっと赤らんでるんで。
  全部冗談ですよね?
【A】: はい。
  …おふたりは、いつも打ち合わせでこんな話してるんですか?
【A】: いや、なんか、少女漫画って結構こっぱずかしいんで。そういう話をしないとダメなんですよ。
  自分でちょっとつっこみ入れながら?
【A】: そうです。はずかしくなっちゃうので。
  じゃあ読むほうも、あんまり少女漫画少女漫画してないものがお好きなんですか?
【A】: あーそうですね。少女漫画は小学校くらいまでですね。中学の終わりくらいから既に青年誌に走ってました。高校のときはスピリッツとかを読んでたので。描く絵も最初投稿したときは、少年誌とか青年誌行ってくださいとか言われるような絵だったんですよ。
  今の絵柄からはあんまりイメージできませんね。
【A】: でも当時は、あっ、女の子にまつげ描けばいいのか…みたいなすごく初歩的なことを考えてて。
  まつげですか。
【A】: わたしの絵、女の子にまつげがなかったんだ!みたいな感じで。そこから試行錯誤して、いつのまにか少女誌に行ってくださいっていう絵になっていったんですよね。だから今でも少女漫画でも、さっぱりした絵のものが好きですね。元々「ツルモク独身寮」のすごいファンで、そこからスタートしてるんです。
  内容的にはどんなものを描かれていたんですか?
【A】: 小学校時代はスポーツ漫画を描いていました。バレーボール・スポ根漫画みたいな。だからあんまり恋愛って感じじゃなかったんですよね。
  スポーツとかはされてたんですか?
【A】: そうです。ずっとバスケ部で。全然反映されてないんですけど。実は意外とスポーツしてたんです。
  作品を読むと女の子がおっとりしてる感じがするので、安斉さんがスポーツとかされるイメージって無かったんですが…。
【A】: 人によく言われるのは、「サクラ ノ ソノ」の桃子と絹香を足して2で割るとわたしになるって。普段は割と口が悪いんですよ。
  そうなんですか?
【A】: なんか、黙ってるとおとなしそうとか言われるんですけど。…自分で言うのもなんなんですが、そんなことはなくて。結構わーっと言っちゃうタイプで。だけど実は暗いところがあるというか。部屋でひとりで「の」の字書いて、夢とか見てるみたいな…。今日悲しい夢見ちゃったー…みたいな。
  名刺とか集めてるのかな?とかちょっと思ったんですが。絹香のように。
【A】: あ、名刺はね、ちょっと集めてた時期もあったんですけどね。トランプのように広げてみたりとかして。ホルダーとか買っちゃいましたからね。でも合コンはあんまり行きませんでしたけどね。たまに行くと、たいてい既に紹介されてて、「君がうわさの!」っていう感じで言われちゃうんですよ。醤油一気飲みするとか、一人で踊りはじめるとか…。
  そ、それは、ほんとのことなんですか?
【A】: あ、ほんとのことなんです。いや、わたしお酒飲めないんですよ、全然。それで学生のときにものすごい苦労して、それで飲めないけど飲めるふりをするうちに、匂いだけでトランスできるようになってしまいまして。
  そう言えば、講談社のパーティーでお会いしたときって、酔ってらしたのかと思ってたんですけど。すごくテンション高かったので…。
【A】: あれシラフなんですよ、わたし。シラフであんなことやってるからオカシいって言われちゃうんですけど。それを前振りで言われてるんで、合コンで発展する可能性はゼロに近いんです。みんな期待してるんですよ「なんかおもしろいことやってくれるんだな、コイツ…」みたいな。
  じゃあけっこう色モノ的扱いって感じなんですか?
【A】: そうです。結婚式とかだと、「振り付けつきで"お嫁サンバ"やってくれるんだよね!」っていうのが回ってるんで、もうやらざるをえないみたいな。それでやるんですよ。シラフで。しかも人が多ければ多いほど自分の中でスイッチが入っちゃって…。そんなことばっかりなんで、酒飲んでないのに出入り禁止の店とかあるんです。
  すごいですね。そこまでいくと才能って感じですね。
【A】: そうですね。ある意味。
  安斉さんの性格の陰の部分が桃子で、陽の部分が絹香にそれぞれ振り分けられているという感じなんでしょうか?
【A】: そうかもしれません。でもいつもは自分と割と反対のキャラクターのお話を描いたほうが、ネームが通 るんですよ。「サクラ ノ ソノ」は最初、絹香が主人公だったんですけど…。
  あ、そうなんですか?
【A】:

担当さんに言ったんですよ。「いつもわたし根暗な女を描いてるのは、もうやなんです!」って。そろそろ弾けたキャラを描いてもよいだろうか?と。それで描いたんですけど、そしたら話に詰まってしまって…。

  それが今の絹香なんですか?
【A】: そう。で、それを脇に据えた途端、話がバーッと進んだんですよね。だから振り回されるキャラを主人公に置いて、周りのキャラは主人公を振り回すキャラクターにするというほうが話が進むんだということがすごく分かりました。
  じゃあ、絹香に対する思い入れは強いんじゃないですか?
【A】: そうですね。ていうか、あれが自然な感じがするんですよね。あの反応がいちばんナチュラルなんじゃないかなー?特にわたしくらいの年なら、あんな感じだと思うんですよね。逆に桃子の方は、こんなやついねーよ!くらいの暗さじゃないですか。暗いことを内に秘めないで、あんなに表に暗い!暗い!って出す人も珍しいと思うんですけどね。でもそこは漫画なんで。
  絹香にも恋がやってきたりとかするんでしょうか?この先。
【A】: そのうちあるかもしれませんけど、あの人は恋愛に幻想を抱いていないタイプの人なんで…。そういう人ってどうなるんでしょうね?
  同性から見ると、絹香は好きなキャラクターなんで、気になりますけどね。
【A】: わたしも友達みんなから、絹香がいいって言われますね。前に連載をやってたときも、やっぱり脇の弾けた女の子がいいって言われてたんですけど、とにかくわたしの場合はそういう人を主人公にすると話が進まなくなっちゃうんで。
  そういうキャラクターって、脇に置いてこそってとこはありますよね。確かに。
【A】: 「サクラ ノ ソノ」のキャラクターって、桃子が"過去"に生きる人で、逆に絹香は"未来"に生きる人なんですよね。それがある意味"刹那的"と言うか、今を楽しむ"現在"に生きる人が諭介。全く違うタイプの3人なんです。
  それぞれがラストにどうなっていくのか、楽しみですね!
【A】: はい。今後の展開にご期待ください。
  それはそうと、私事ですが、「サクラ ノ ソノ」や、「校舎の裏で待ってます」に収録されている「明日はどっちだ」に出てくるメガネの男の子はすごいツボなんです…。
【A】: あ、すごいそれ女の人に言われてて。実は女の人メガネ好き多いですよね。でも「担当さんメガネなんですよーっ」て…。
  ははは!そうですよねー!わたしも「メガネフェチなんです」ってさっき言おうと思ったんですけど、あ、Tさんメガネなんだよな…と思ってなかなか言いにくかったんですけど。
【A】: わたしもいつも言いそうになるんですけど、そのたびにTさんメガネだった…とか思って言わないようにしてるんです…。でもほんと好きで、メガネをかけてる人とばっかりつきあってましたね。その人が好きなのか、メガネが好きなのか分からないくらいで。
分かります!すごく!
【A】: 挙げ句の果 てには目がいい人を悪くさせて無理矢理メガネかけさせたこともありました。
  それ、すごいですね! 安斉さんは目はいいんですか?
【A】: わたしはすごく悪いんですよ。視力検査の一番上のマルが見えないんです。今はコンタクトなんですけど。
  女性のメガネも結構オッケーですよね。
【A】: そうそう。トミー・フェブラリーとかかわいいですよね。…でも漫画で描くときは結構面 倒くさいんですけどね、メガネ。
【T】: 老眼でもいいの?(またもやチャチャを入れる担当T氏)
【A】: それはちがいますよー!!
  そうですよー!
【A】: でもほんと、メガネ好きは多いですよね。
  今回の諭介はほんとメガネフェチにとってはストライクでした。たぶんそう思ってる人たくさんいるんじゃないですかね。
【A】: そうですか?それは良かったです。結構、またメガネ?とか言われそうな気がしながらもメガネにしてみました。かなり趣味が反映されています。こんな人いたらいいな…みたいな。「明日はどっちだ」の川瀬(かわせ)くんとかはかしこい感じで、あれはもろわたしの趣味を反映させたキャラクターですね。
  自分の好きなキャラクターが描けるのって漫画家さんの特権ですよね。
【A】: そうですね。
  あの髪型でメガネっていうのがまたいいですよね。
【A】: 担当さんとかぶらないように、短髪にはしないようにしてるんです。あと、このあいだワンモアキスでやった3回連載のときは、主人公の女をメガネにしちゃって、家族全員メガネをやっちゃったんですけど、あれは結構大変でした。
  扉の絵とかかわいかったですよね。トミー・フェブラリーみたいな感じで。
【A】: ちょっと意識してたんですけど、なんかやっぱり女のメガネは難しいなと思って。てゆうか主人公のメガネは毎回描かないといけないので、面 倒くさいし、メガネかけてないと誰?って感じになっちゃうし。寝てるときとかメガネはずしてると、誰だか分からなくなっちゃうんですよね。やっぱ男の子がいいかな?とか思って。
  確かにそれはありますよね。
【A】: わたしの家にありますから。"メガネファイル"っていうのが。
  なんですか?それ。いろんなメガネが載ってるんですか?
【A】: いや、メガネをしている男の子だけを集めたファイルなんです。"メガネファイル"。ミュージシャンとかのメガネが好きなんですけど、その写 真を切り抜いてファイリングしてあるんで、それを参考にして描いてるんです。
  なんかもう、メガネ魂って感じですね!!
【A】: そうですね。右も左もメガネばっかりみたいな感じです。メンズノンノとかのメガネ特集とかあると、買って切り抜くんです。
  もうそれ宝ですね。災害時にはメガネファイルだけ持って逃げる!みたいな。
【A】: そうですね。それ持って逃げます。
  それぜひ見てみたいです!
【A】: 一部、写 真で公開します!女の子バージョンもあるので、併せて。
フォトギャラリー
写真1
初コミックス「校舎の裏で待ってます」 私のわがままで、水玉。。。もちろんメガネくん収録ですので、 よろしくお願いします
写真2
汚さ爆発。ここが部屋の一部なのが怖い…
写真3

秘蔵の(?)メガネファイルです。上が男子編、下が女子編です。 全ページお見せできないのが残念(趣味に偏りあり)

写真4
『サクラノソノ』初期の設定。主人公・桃子がいない… 受付嬢にするか、秘書にするか悩んでた頃です。
写真4
ロシア文学関連の資料です。全部読んだのかは聞かないで。。。 意外と少なくて探すの大変でした。 ドストなんて今回まるで出番無しですね…
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