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Kissには初登場ですが、この作品自体の歴史は長いですよね(『死と彼女とぼく』シリーズが漫画文庫で全5巻、新シリーズとしての『死と彼女とぼく ゆかり』が既刊コミックス4巻で継続中)。そもそもこの作品を描かれたきっかけを教えてください。 |
| 【川口さん】:(以下K) |
昭和63年に『サスペンス&ホラー』という少女雑誌ができるというので声をかけていただいて、16ページもらったんですけど、その時から、これ続けられないかなと思いながら描いたんですよね。当初から絶対、キャーキャー言うのはやめて、もっと冷静に恐怖を見つめられる女の子を出そうって思ってました。最初、ホラーの仕事と言われた時、びっくりしたし、怖いもの?って思ったんだけど、今から思うと「死者」に敬意を払うものを描きたいと思ってたんだな、って今は分析できる感じですかね。その当時はそれほど意識してなかったけど、ゆかりの冷静さの裏には「敬意を払う」っていうことがあったんだと思うんです。で、当時の担当さんが、それをずっと許してくれたっていうか、見守ってくれたのか見放されたのか、よくわかんないけど(笑)。止めが入らなかったから、そのまま徐々にシリーズ化していって……。 |
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当時、「死者」という言い方は新しかったと記憶しています。普通
なら「幽霊」とか言いますよね。それと、ホラーというジャンルだから読むという人もいる一方で、ホラーだからちょっと……という人もいると思うんですが。 |
| 【K】: |
たしかに「死者」という言い方をしている人は(小説とかには)いましたけど、漫画の中では使われてなかったですね。その頃、わたしの周りでお葬式が多かったんです。で、身近な人が死んだ後、「ユーレイ」だの「オバケ」だの言われたらイヤじゃないですか。「イヤ」っていうか、そんな言い方できる間柄ではないので、そういう人へのメッセージを考えると、やっぱり「死者」ですよね。
最初の頃は勢いだけで描いてたんですけど、描いてるうちに、もっと深いものがいっぱいあって、そこに自分の描きたいものがあるんだなって。自分がどう生きたいのかっていうのが。生きるっていう方向なんですけど、それが掴めそうな感じをおぼえてきたんで、掴むまではって、ずーっときているような感じですね。みんなが許してくれるなら、これからも(笑)。まだまだ中途半端なところがあるから、それを整理して、みなさんにもっとちゃんと伝えられたらいいなって思うんですけど。だから本当はわたしのを読んで「怖い」って言われると、すごくがっかりしますね。怖かったっていう印象が先にくると「ああそうか、まだまだダメだなあ」って、そう思いますね。 |
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でも、川口さんの作品を読むと、この人は本当に見えるのでは、と思うくらいイメージが鮮明で強烈です。 |
| 【K】: |
そういうのがちょっとでもあったら作品にリアリティーが加わるんでしょうが、全然。いい予感も悪い予感も働かなくって……。天気予報を見ていながら台風の中に突っ込んじゃうような運の悪さがある。どうにかしてほしいって感じ(笑)。 |
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川口さんにとって「ホラー」という体裁をとっていることのメリット・デメリットってなんですか? |
| 【K】: |
メリットは、わたし、SFが好きなんですよ。小さい頃からSFばっかり家にあったんで読んでて、それにすごい影響受けてるんですね。でも、それをそのまま少女漫画誌とか、ましてや女性漫画誌とかでやったら、とても説明が難しすぎて、みんな付いてきてくれないんですよね。そんなことしちゃ、引かれちゃうから。そういう意味では「ホラー」という形はある種、わたしの想像の領域を思いっきり広げさせてくれるんで、メリットはそこにあります。デメリットは、「死ぬ
」ということがまず前提にあるんで、そこですかね。「死」っていう字を見るとドキッとしますよね。恐ろしい、できたら見たくない字。それで避けられちゃうっていうのが、本当にデメリットですよね。ホラーを読んだり描くようになる前は、わたしも怖かったですし。『死と彼女とぼく』で、いちばん最初に、原稿用紙にスミで血しぶき飛ばさなきゃいけなかった時は、すごく抵抗があったんですよね。慣れちゃえばどうってことないんですけどね(笑)。「もっと派手に〜」みたいになっちゃうんだけど(笑)。最初の、こんなの描いていいのかなっていう(わたし自身の)ドキドキ、怖さ、そういうのが読者に拒絶されるのが、デメリットですよね。 |