川口まどかさん インタビュー!
ホラーという枠を超えた感動的な作品の数々で 幅広い支持を集める
『死と彼女とぼく ゆかり』
連載3回目を執筆直前の川口まどかさんに、
その舞台裏を伺ってきました!!
  川口さんの作品は、怖さと同時にコミカルな部分も見逃せない要素だと思いますが。
【川口さん】:(以下K)  それは、わたしがそもそもギャグ漫画家だった、ということがあるんじゃないでしょうか。大阪育ちですから、小さい頃から、土曜日、学校が早く終わったら吉本(新喜劇)見て、お好み焼き食べるかタコ焼き食べるかっていうのが大阪の一般 的な子供だったから、ギャグは根底から離れないですよね。もう染み付いちゃってるから。自分の漫画でも、死者を最初に思いついてデッサンする時に、笑えたら成功なんですよ。例えば「ブキオ」(文庫2巻『黄昏時の拉致』)とか「ウザトカゲ」(KC2巻『閉ざした明日を開くために』)とか。その死者の姿形を描いた時に、自分でゲラゲラ笑えたら「あ、こいつはわたしのもの」みたいな、そういう感覚が。それで思いっきり楽しんで描けるっていうのも、やはり元ギャグ漫画家として非常に嬉しいところですね。「よかった、描いてて」(笑)という。それに、笑いをもってこないと、死んだことなんて解決できないことがいっぱいじゃないですか。笑いで気持ちを高揚させていかないと、ガン細胞だってなくならないっていうし。それでみんなが、無気味ながらも、ちょっとなごんでくれると、また客層が増えていいな、という下心もあるんですけど(笑)。恋もそうですね。笑いと恋は外せないですね、わたしの好きなものとして。お仕事としてホラーが入ってるから、それを組み合わせて上手に利用しようとしてるんです ね、きっと。
  発表誌が変わったことで作品に影響はありますか?
【K】: Hなシーンですか……(笑)。「死者」の精神年齢を上げることができることかな。だから楽は楽かな、自分もそれなりに年をとってきてるんで。それまで、小学生相手では控えめに描いてたことをストレートに出しつつ隠しつつ、というのがちょっと面 白いかなと思ってますけど。で、逆に大人の人たちが、忘れかけてた過去、学生の頃とか、もっと遡って小学生ぐらいの頃の、封じておきたかったことを掘り起こして涙してくれるといいかな、とも思ったりしてます。子供の頃の大人に感じた不条理とか、そういうものが死を通 すと表しやすいんじゃないかな、と思うんですよ。子供って考えてることがストレートだし、複雑なことはわからないにしても、そのぶん純粋で美しいと思うから……ちょっとおバカですけどね(笑)。そのへんを思い出して、小さい者たちへの思いやりを思い出してほしいかな、と。独身女性に特に。わたしも独身の頃、小さな子たちと公園とかでたまに遊んだりした時に非常に新鮮だったし、その時は、なにかを取り戻せたような気持ちに、一瞬なれたから。読んでる人が、そういう思いができるように。女性誌ならそれができるかなと。小学生読者が相手なら、「こうだよね。大人はダメだよね」みたいなことをずっと描くことになるのかな。それか「ゆかりちゃんと松実くんはどうなるの?」とか、そういう恋の状態を描くだけになったかもしれないけど。また年齢層が変わったんで、楽しみながら苦しんでいるんですけど(笑)。
  「死者」が大人として確立されたことで、ゆかりたちが子供であることとのギャップというか、「大人対子供」という図式が明確になった部分はありますか?
【K】: ゆかりたちは、こんなしっかりした子はいないだろ(笑)って感じだから、夢物語の中の子供として扱ってはいるんです。でも、子供の頃は言えなかった、知らなかった言葉があったがために、大人の言うことに反論できなかったじゃないですか。それを漫画の中で、ゆかりちゃんや松実くんに言わせることで、すっきりしていただこうかな、とも思っているんですよ。「こう言えてたら親は変わってくれたかもしれない」とか、そういう思いが積み重なって……。今、子供を見てて、こう言いたいくせに言えないんだろうな、って。たださらに、それを汲み取れるような大人にならなきゃいけないんでしょうね。「あ、これわかんないんだ、だからこうしてやらなきゃ」って。なかなかそうはいかないけど。
  それでは最後に読者のみなさんにメッセージがありましたら、お願いします。
【K】: ゆかりちゃんと松実くんの恋の関係も楽しみにしていただければ。いろいろ進展させたいと思ってますので。
  え、本当ですか?
【K】: 予想ではね(笑)。お互いに結婚を考えていこうというのはあると思うんで、そのへんのことを。もし彼らみたいな能力があったらどうしますか、っていう……。わかりやすく描きますんで、どうか付いてきてください(笑)。怖がらないで付いてきてね、って。
  これからも続々と魅力的な死者たちが登場するわけですね。
【K】: せっぱつまらないとどうもね(苦笑)。でも、人間はいっぱいいるから、モデルもたくさんあるわけで。街で出会う人がモデルになるやもしれません。それは例えばムカつくオヤジであるかもしれないし、ムカつくギャルかもしれないし、すぐ殺されちゃうOLかもしれない(笑)。「次はあなたです〜」みたいな(笑)。あたしを怒らせないほうがいいですよ〜(笑)。
フォトギャラリー
写真1
とてもオシャレとは言いがたい仕事部屋です。しょっちゅう「ケシゴム・ペン・資料、隠し妖怪」がでます。
写真2
壁のスケジュールボードです。最近はここに書くヒマもありません。息子のらくがきボードになってます。
写真3
仕事中かならずある常備食。スルメ、ガム、黒ざとう、チョコ。さし入れ大歓迎です
写真4
手間ヒマかかってるウィンドーBOXです。近所の人に好評なので、やめるにやめられません。
写真5
昨年10月、自宅前の段ボールに入って置き去りにされてた猫です。みるみる大きくなりました。甘え上手、臆病者のナッツくんです。
写真6
こちらも同じくナッツと兄弟と思われます。甘え上手だけど勇敢なビターくんです。
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