山田圭子さん インタビュー!
大人気連載『キャバママ』の作画担当、山田圭子さんに
原作ものの難しさとその果ての恍惚について(?)本音トーク!
  『キャバママ』連載1年を振り返って、いかがですか?
【山田さん】:
(以下Y) 
私の長い漫画家生活で、こんなにハードな漫画は描いたことがないですね。漫画の密度とか表現方法とか、要求されるレベルが高いので、いろいろともまれ続けた1年間でした。ふーっ(ため息)。
  そもそも山田さんはキャリアも長く、単行本も40冊近く出してますよね(※)。ずっとオリジナルで描いてきて、初めての原作ものへのとまどいって、ありましたか?
【Y】: 確かにこのお話をいただくまでは自分が原作ものを描くなんて夢にも考えてなくて、遠い宇宙の話のようで、とまどいというよりイメージできませんでした。でも即、「やりたい。やるからにはやるんだ。やるしかないんだ!」って思いました。実際に連載をはじめてみて、そうですね、原作者の城戸口さんと私の考えていることって近いところもたくさんあるんですが、自分では想像もしなかった表現の仕方とか、「こういう展開ありえるのか? 私とは真逆だけど」みたいなところがあって。それを自分の中で消化して、なおかつ掘り下げていくのが大変でもあり、でもいちばん大切でやりがいのあることだと思ってます。
  原作もののインタビューは珍しいので興味のある方もいらっしゃると思います。具体的な作業の流れを教えてください。
【Y】: まず、シナリオが送られてきて、それを読み込んでいきます。で、わからないところをリストアップして担当さんと電話で打ち合わせ。ヤマ場はふたつあるけど、どちらの比重を大きくしたらよいかとか、この場面でのこのキャラの感情はとか、細かいことも含めて根堀り葉掘り訊きます。それからネーム。それぞれのキャラの振り付け・お芝居を考えて、イメージをふくらませながらひたすらネームを作って、大体3日間くらいでできます。でも、ネームよりリテイクが大変です(笑)。自分ではこれしかない、って思いで絵を入れてるんで、打ち合わせで編集さんから「違います。原作シナリオの真意はこうです」って言われると、そっちに頭を切り替える、自分のイメージを捨てて相手のイメージを受け入れるのにひと苦労しますね。たとえば20話(Kiss17号掲載)で、どしゃ降りの雨の中、去っていく母の後ろ姿を傘もささずに見送る田沼、と原作にあると、この田沼の表情をアップでどんと描くわけですよ。でも「ここは向日葵と大地の視点なので田沼の様子は斜め後ろから」とリテイクが出ると、「それじゃ感情込めて描いた顔が見えないじゃないですかー」と七転八倒します(ハアハアと息づかいも荒く)。……でも確かに原作には『二人(向日葵と大地)には、田沼が泣いているように見えて、切なかった』とある。ここで描くべきは田沼の感情ではなく、田沼を見つめる向日葵と大地の気持ちのほうなんですよね。まあ、あそこはそのほうが読者の想像をかきたてる、いい場面になったと思います。こんな感じで、いつもリテイクしたほうが良くなるので、最終的には納得したうえで、さらに気持ちを込めて作画しています。
  山田さんとの打ち合わせの場合、「ここはまだ抑えて抑えて」という話し合いが多いですね。ただ、いつもありがたいのは、リテイクを恐れず、いつも全力でネームを作ってくださることです。普通、萎縮してしまうと思うんですよ。そういう恐れがなく、逆にこちらの想像以上の場面を演出してくださる。同じ20話で、原作の『「うるせー! 泣いてなんかねー!」二人で涙をぬぐう』という場面は、いちばん重要なシーンというわけでもないのに、その回の中でいちばんの大ゴマです。でも、少年たちの照れくささとか嬉しさが胸に迫ってくるいい場面だから、原作と比重が違っていても一発OKなわけです。だからこそアンケートの「いちばん好きなシーンがあった作品」の上位に必ずランクインするような作品になっているのだと思っています。
【Y】: ありがたい話です。確かに「こういう漫画だからこう描いてくれ」と最初から細かく指示されて、それで描けるかというと、描く気が起きないでしょうね。わからないなりに描いていくことで爆発力みたいなものが生まれるのかもしれません。で、ネームのOKが出ると、それから丸1週間で作画します。はじめの頃は「もっと白く、もっと白く」と唱えながら描いてましたが、気がついたらいつの間にか濃い〜原稿に。今はもう気にせず描いていて、せめて枠の中に入れるので精一杯です(汗)。
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